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2025/10/29

800Gインターフェース導入に向けた技術検討の開始

2025年10月29日
BBIX株式会社



800Gインターフェース導入に向けた技術検討の開始



BBIX株式会社(以下「BBIX」)は、インターネットエクスチェンジ(IX)サービスにおける800Gインターフェースの導入に向けた技術検討を開始しました。


近年、生成AIをはじめとするデジタルサービスの急速な普及により、インターネット上のデータトラフィックはこれまでにない速度で増加しています。BBIXでは、こうした将来的なトラフィックの増大に先手を打って対応するため、ネットワークのさらなる広帯域化と長距離伝送の高効率化を重要課題として位置づけ、次世代通信技術の導入検討を進めています。


今回の取り組みでは、800Gクラスの技術的選択肢を整理・比較し、その特性を確認するとともに、長距離伝送ソリューションである「800G ZR+」トランシーバを用いた技術評価を実施しました。本活動は、将来的な800G伝送技術の導入に向けた実用性を把握し、広帯域ネットワーク実現の基礎となる知見を得ることを目的としています。




1. 800Gインターフェースの概要と各社動向

各社の800G規格対応状況を、以下の表にまとめました。(2025年10月時点)

規格名 ファイバー種別 最大伝送距離 伝送方式 コネクタタイプ NOKIA B社 C社
800G-2VSR4マルチモード50mPAM4+MPO
800GBASE-2DR4
800G-2DR4
シングルモード500mPAM4LC
800GBASE-DR8シングルモード500mPAM4MPO
800GBASE-DR8+シングルモード2kmPAM4MPO
2x400G FR4
800G-2FR4
シングルモード2kmPAM4LC
2x400G LR4
800G-2LR4
シングルモード10kmPAM4LC
800G-ZRシングルモード120km16QAMLC
800G-ZR+シングルモード500km16QAMLC

表1. 各種トランシーバ比較


※本規格は現在も標準化の議論が進行中であり、今後、仕様が変更される可能性があります。また、各社で呼称や仕様に一部差異がある場合があります。

※表中の主な用語について:
・マルチモード/シングルモード:光ファイバーの種類で、用途により伝送距離や速度が異なります。
・伝送方式(PAM4/16QAMなど):光信号の変調方式を示し、通信の効率や安定性に関係します。
・コネクタタイプ(LC/MPOなど):光ファイバーを機器に接続するための端子形状を示します。

※本表の内容は、各社が公表している製品情報および公式ウェブサイトをもとに、BBIXが独自に調査・整理したものです。



2. 検証概要と試験内容

NOKIAの協力のもと、長距離伝送に対応した800G ZR+トランシーバを用い、コアネットワーク区間および顧客収容回線を想定した構成で技術検証を実施しました。

検証にあたっては、同じ16QAM変調方式を採用する400G ZR+トランシーバを比較対象とし、動作傾向や性能差を把握しました。

図1. 試験構成図



2-1. 試験条件と比較仕様

本検証では、NOKIA製800G ZR+トランシーバを使用し、各種規格値を確認しました。併せて、比較対象として400G ZR+トランシーバの規格値も整理し、後続の伝送試験および切り替え試験における基礎データとして活用しました。

項目 800G-ZR+ 規格値 400G-ZR+ 規格値
温度(℃)<75<75
電圧(V)3.17 – 3.433.31 – 3.46
光出力(dBm)0 – 2.5-6.0 – 1.0
受光(dBm)-9 – 1-12 – 0

表2. 本件使用トランシーバ規格


※上記は代表的な動作条件を示しており、実際の環境や機種により変動する場合があります。


2-2. 長距離伝送およびスループット試験

コアネットワーク区間に800G ZR+トランシーバを搭載し、伝送装置との接続試験を行いました。本試験では、伝送装置間を20kmの光ファイバーで接続し、長距離通信を模擬したうえでスループットおよびリンクアップの安定性を評価しました。その結果、800Gbpsのスループットを安定的に達成できることを確認し、800G ZR+の高い実用性を示しました。


2-3. 光スイッチ切り替え試験

光スイッチとルータの設定条件を統一し、800G-ZR+および400G-ZR+の両トランシーバで複数回の切り替え試験を実施しました。その際、リンク断(リンクダウン)から復旧(リンクアップ)までの時間を計測しました。

  800G-ZR+ 400G-ZR+
切り替わり平均時間(sec)2.4616.154

表2. 本件使用トランシーバ規格


2-4. 評価結果

本検証により、800G-ZR+トランシーバを用いて800Gスループットが達成可能であることを確認しました。また、伝送装置と20kmファイバーを用いたリンクアップおよびエンドツーエンドの接続が問題なく確立できることも確認されました。これらの結果から、800G-ZR+トランシーバが顧客収容スイッチ直結構成および長距離光伝送経路のいずれにおいても安定した動作を維持できることが示されました。

なお、光スイッチの切り替え試験では、800G-ZR+が400G-ZR+に比べてリンクアップまでの時間が短いことが確認されました。これまで、NRZ(Non-Return-to-Zero)やPAM4(Pulse Amplitude Modulation with 4 Levels)などの変調方式によってリンクアップ時間に差が生じることは確認されていましたが、今回はいずれも同じ16QAM(16-Quadrature Amplitude Modulation)方式を採用していることから、変調方式以外の要因が影響しているものと考えられます。今後は、その要因についてさらに詳細な分析を進めていきます。


3. 今後の展望

800Gトランシーバは、2025年10月現在、標準化の議論が進行中であり、今後は正式仕様として定着していくことが見込まれています。現時点では対応機種の種類は限られていますが、近い将来には各ベンダーによる実装が進むことが予想されます。

今回は800G-ZR+に限定した試験を実施しましたが、今後は複数ベンダーの製品や各種規格の評価を行い、フィールド試験を通じて性能検証を進めていきます。




BBIXはIX事業者として、市場動向を注視しつつ、常に新しい技術の導入を検討していきます。これらの取り組みを通じて、ますます重要性が高まるインターネットを支える社会インフラとして、信頼性の高いネットワークを維持し、安定したサービス提供に貢献していきます。





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